目次
はじめに
臨床工学技士(CE:Clinical Engineer)は、医療機器のスペシャリストとして、病院のさまざまな場面で活躍しています。中でも「透析業務」は、臨床工学技士の代表的な仕事の一つ。この記事では、臨床工学技士がどのように透析医療に関わっているのか、日々の業務内容ややりがい、必要なスキルなどを紹介します。
透析とは?
透析とは、腎臓の機能が低下した患者さんに対し、血液中の老廃物や余分な水分を取り除く医療行為です。主に「血液透析(HD)」と「腹膜透析(PD)」の2種類がありますが、日本では血液透析が主流となっています。
臨床工学技士の透析業務とは?
1. 透析装置の操作・管理
臨床工学技士は、透析治療に用いる装置(透析装置・RO装置など)の準備、操作、保守点検を担当します。これらの装置は患者の生命に直結するため、常に安定して動作するよう細心の注意が必要です。
2. 穿刺や回路接続の補助
施設によっては、臨床工学技士が患者への穿刺(シャントへの針の挿入)や、血液回路の接続作業を行います。医師や看護師とのチーム連携が重要になります。
3. 透析中のモニタリング
透析中は、血圧、除水量、回路内の圧力(静脈圧・透析液圧)などを継続的に監視し、異常があればすぐに対応します。患者の容体変化にいち早く気づき、医療チームと連携して対処する力が求められます。
4. 保守・点検・記録
透析装置は定期的なメンテナンスが不可欠です。臨床工学技士は、法令に基づいた定期点検やトラブル対応を行い、安全な医療提供を支えています。また、記録業務も大切な仕事の一部です。
やりがいと大変な点
やりがい
透析は週3回、1回あたり4〜5時間におよぶ治療です。長期的に患者さんと関わることで信頼関係が築かれ、名前を覚えてもらえたり、「ありがとう」と感謝の言葉をもらえたりすることがやりがいに繋がります。
基本的に臨床工学技士は病院の機器全般を扱う職種です。そのため、他の職種に比べ患者さんと触れ合う機会が少ないです。その中でも透析業務は患者さんと直接コミュニケーションをとることのできる業務といえます。
また臨床工学技士の視点から、治療条件の変更(ダイアライザーの変更や血流量・透析時間等)を医師にアセスメントすることもできます。専門的な知識をいかんなく発揮し、患者さんへ質の高い治療を提供できることもやりがいとなるでしょう。
大変な点
早朝からの準備や、機器トラブルへの迅速な対応など、体力と集中力が必要な業務でもあります。また、患者の急変や事故対応といったプレッシャーもあるため、精神的なタフさも求められます。
透析業務に必要なスキル・知識
- 医療機器の知識と操作技術
- 生理学・血液の循環に関する理解
- トラブルシューティング能力
- チーム医療におけるコミュニケーション力
- 正確な記録と報告スキル
臨床工学技士は、国家資格を持った専門職であり、透析業務を安全・確実に遂行するために、これらのスキルを日々磨いています。
また透析室には、医師はもちろんのこと看護師、そのほかのコメディカルも関わります。そのため臨床工学技士の専門的な知識を出し、患者さんに対しより良いチーム医療を行っていく必要もあります。
今後の展望
超高齢社会の進展に伴い、慢性腎不全患者は年々増加しています。透析患者数も増えており、それを支える臨床工学技士のニーズは今後さらに高まると考えられます。ICTや遠隔モニタリング技術の導入が進む中で、デジタルリテラシーや情報管理能力も求められていくでしょう。
まとめ
臨床工学技士は、透析医療の現場で「命を支える」大切な役割を担っています。高度な医療機器の知識と技術を駆使しながら、患者さんの生活の質(QOL)向上に貢献するプロフェッショナル。その姿は、まさに“縁の下の力持ち”と言えるでしょう。
透析業務に関心のある方、医療業界を目指す学生の方にとって、臨床工学技士という職種の理解が少しでも深まれば幸いです。
最後までずく出して読んでくれてありがとう!
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